廣瀬美香は、勝山の病院で働く作業療法士である。
一般的な作業療法にとどまらず、「アート」と「福祉」を融合したオリジナルの療法を実践。
彼女が週に1度開催するアートセラピーは患者さんたちの癒しとなり、回を重ねるごとに笑顔が増えていく。
イラストを描いた日々が
アートセラピーの原点
子ども時代はよく外で遊んでました。夏は真名川に泳ぎに行き、バスケットボールにクロスカントリーにと、常に体を動かしているような元気印。一方で絵を描くことも大好きでした。シュールな漫画をモチーフに、おかしなイラストを描いては友達に見せていました。おもしろいって言われるのがうれしくて、いつも描いていましたね。高校に進学しましたが、それは自分にとっては迷いの時期でした。何かに打ち込むわけでもなく、禁止されてたバイトをしてみたり・・・。将来像が明確にならなくて、なんとなく過ごす毎日でした。
大学受験の時期になり、私は美術大学を志望しました。イラストレーターになりたいとうっすら思っていたからですが、美大に行くならお金は自分でまかなうよう親から言われ、勉強とお金の両方を自分で工面できるのかと考えたとき、すぐに無理だと思ってしまったんですよね。結局美大は受験しませんでした。そこに突き進もうという「覚悟」はなかったんですよね。
結局、医療福祉の仕事をしていた母の勧めで、リハビリテーションの資格を取れる専門学校に進むことにしました。本当にやりたいことではなかったんですが、ほかに情熱を傾けられるようなものが見つからなかったので。
福井でさえ都会と思うような狭い世界にいて、外に出たいという気持ちが強かったこともあり、受験したのはすべて県外の学校。岐阜県の専門学校に進学を決め、大野を出ることになりました。