髙見瑛美は、大野の山辺に住む。鉢植え作家として日々を過ごしながら、仲間たちと町の活性化にも取り組んでいる。
大野の暮らしを愛する並々ならぬ思いは彼女をのんびりと、しかし、着実に動かしている。
あこがれの大阪
子どもの頃はずっと家の近くで遊んでました。家の裏が山なんですけど山に入って基地を作ったり、かまくらを作ったりしていました。比較的おとなしい子だったかな。
お兄ちゃんとお姉ちゃんが二人とも大野を出て大阪にいたのでよく遊びに行きました。高校の時に『RANCID』というパンクバンドのライブに行ったり。都会に出て、都会の生活をしているのがうらやましかった。だから、早く大野を出たかった。
いざ、進路を選ぶ際は、家具や雑貨のバイヤーになりたかったので職業専門学校を探したんですが「そんなのつぶしが効かんぞ」と親に反対されて大阪の外国語大学に行きました。英語が好きだったのもあるけど、なんとかして世界につながっていたかったんです。
大野を出るときはすっごいうれしかったです。外のことしか考えてなかった。大野が好きって考えることもなかった。引越しを大阪にまで手伝いにきてくれた親は淋しそうだったけど。
ひとり暮らしは楽しかった。いつかえってきてもいい。ご飯を食べてかえるか、自分で作るかも自由。電車なんか大野でほとんど乗らなかったから都会の電車に乗ることが楽しかった。