寺島美恵 美容師

寺島美恵は美容師である。自宅で営む美容室は夫婦で経営。
今年、開店14年目を迎えるお店は、今日も大野市内外の常連客に親しまれながら営業している。

いつも傍で見ていた母の姿

実家は上庄地区で周りを田んぼに囲まれたのどかな所。お母さんは自宅の横で美容室を開業していたので、仕事中も家とお店を行き来してました。だから、日中は家の中から煮物のいい匂いがお店に漂ってきたり、お母さんの笑い声が聞こえてきたりと。そんな環境だったから、ほっこりとしたあったかい気持ちになれました。ヘアーカットが終わった後もお客様と会話が弾みすぎて、気付けばずう〜っと話していたってことがしょっちゅうで・・・。そんなお母さんが大好きでしたね。私は小さい頃から髪の毛を掃いたり、ロットを渡したりと楽しんでお手伝いしてたなぁ。

子どもの頃は、ケーキ屋さんやパン屋さんになりたいと思ったし、スポーツが好きで得意だったから、スポーツのインストラクターになろうか!なんていろんな夢があった。でも、「職業」として自分の道を選ぶとなった時に、やってみたい!やろう!と決めたのは美容師だった。幼い頃から眺めてた、楽しそうに仕事をするお母さんの後ろ姿。自然に「美容師っていいな」って思うようになってたのかも。

高校卒業後、福井の美容学校へ行きました。私は、大野で美容室をやりたいと思っていたから、県外の学校にまで行きたいとは思わなかったな。お母さんみたいに、家で子育てや家事をしながら仕事をしたいなぁと思ってたから。

私の「大野へかえろう」

美容学校を卒業してからは福井県内で美容室を何店舗か経験して、26歳の時、一度自分を見つめ直したいという気持ちになった。必要な技術が身に付いてきた中で、お客様との向き合い方や自分って今どうなんだろう、これからどうしたいんだろう・・・っていう問いが心の底から湧いてきた。そんな中で、仕事のことだけじゃなく私生活においてもいろんなことが一気に重なり、“大野に帰って一度自分を見つめ直してみよう”という思いから、大野へ帰ってきましたね。

大野へ戻り美容室で働きだし、そこで出会った美容師仲間と結婚。旦那さんも大野出身。夫も大野出身。結婚後も同じお店で仕事は続けていたけど、一人目の子どもを授かったのを機に、新しい出発として自分たちのお店をオープンすることに。それがこのお店ですね。

お母さんのお店みたいに
なってきた

子どもができて、自分たちが経営するお店になってからは、出産間際まで働いて、産んで1カ月で仕事に復帰。お店の中にベビーベッドを置いて、予約の合間におっぱいをあげたり、おんぶしながら髪の毛を切ったり・・・。大変だったけど、ここは地元で、周りの人たちやお客様が事情を知っていて、心配してくれたり手伝ってくれたりするから育てながらでも仕事ができた。福井にいた頃はお客様と一線引いている感じがあったけど、今ではそういう感覚がなくなってきて、一人ひとりのお客様と友達になっていく感じ。いつの間にか、このお店もお母さんのお店みたいになってきたなぁと思う。ゆるい感じが心地いい!っていう大野ならではの感覚かも。最近、一番下の子が美容師になりたいって言ってくれてて・・・。ちょっとうれしいな、なんだか心が温かくなる。幼い時の自分と一緒で、母が楽しそうに仕事しているのが分かるのかな。

地元に密着というより、人に密着している気がします。県外に嫁いだ友達が、帰省してきたときに来てくれるってことも多いですね。うちのお店は人のつながりや口コミで来てもらえてる状態だと思う。ありがたいことに、長年通ってきてくれてるお客様が多いですよ。

ここにしかない
大野の暮らし

水が美味しい、空気も美味しい、見上げれば空も綺麗。水が美味しいから食べ物が何でも美味しい。自分で料理しても、素材がいいから本当に美味しいなって思う。夜空には星が煌めくし、冬に雪が降りそうな時にツーンとなる感じも好き。感覚の話だから一度体験してみて欲しいな。早朝にジョギングしていると、空の色が短時間で“ぶわ~”って変わっていって、さっきまで星が出ていたのに太陽が“ガーッ”と上がってくる感じとかほんと大好き。家からお城が見えるのもいい。夏はお店の後ろの川で、蛍がほんのりと優しく、明かりを灯してくれる。窓から聞こえる虫たちの大合唱も心地いい。そんな自然を身近に感じられる大野は、心が癒されるし元気をもらえる感じで大好きです。こんな素敵な環境に囲まれて暮らしていられること、それがすごく幸せだな。

大野はお店が早く閉まるとか、数が少ないとかもあるけど、不便だとは思わない。インターネットでお買い物ができる時代ってこともあるけど、穏やかでゆったりと流れる大野の独特な時間と空間の中では、今の自分に本当に必要なものや欲しいものが見えてくる気がします。限られてるのが逆にいいかな。雪が多いのも大変みたいに言われてるけど、逆に“雪かきして体力アップ”みたいな気持ちになってる。とりあえず、身体が資本やし、めっちゃ食べるよ。大野にも新たにオープンしているお店が増えてきて、若い人がいっぱい頑張ってるから、自分も元気を分けてもらえてる。だからって訳でもないけど、実は・・・ボランティアで人力車を引く車夫もしています。もともと趣味でランニングしてて、ある日、マラソンチームの人から声を掛けてもらって『越前こぶし組』に参加するようになったの。そのお陰で、大野にはまだまだ知らないことがたくさんあるなぁって気付けた。走ることや人力車を通じていろいろな人と知り合えて、おもしろいイベントとかにも声を掛けてもらえるようになったりと、嬉しいことや楽しいことがどんどんやってくるようになった。コミュニティで人と人が少しずつつながって、そこから新たな出会いとご縁が広がってくのって大事やなって思う。

寺島より、若い人たちへ

自分で自分のことを大好きって思える、そう言えるような生き方をしてほしい。当たり前の日常にある幸せに気付けるようになってほしい。若い人たちも自分自身が後悔しないよう、一日一日を思いっきり生きて欲しい。

  • 休日の過ごし方
    休みの日は、雑貨屋巡りや食べ物屋さん巡りをして楽しんでます。
  • 寺島美恵

    1974年生まれ
    美容師

  • 夜は毎週、ヨガをしに行ってます。

  • 休日の過ごし方

    休みの日は、雑貨屋巡りや食べ物屋さん巡りをして楽しんでます。夜は毎週、ヨガをしに行ってます。

  • 寺島の経歴

    大野高校→ 美容学校(福井)→ 美容室勤務(福井)→ 美容室勤務(大野)→ 結婚(大野)
    → 独立・開店

  • 寺島の一日

    5:00
    起床 ランニング 朝食の
    準備
    6:20
    子供たち起床 朝食
    9時までに掃除洗濯買い出しの家事を終わらせる
    9:00
    営業開始 サロンワーク
    空き時間に夕食の準備
    19:00
    営業終了閉店 後片付け
    ランニング
    21:00
    子供たち就寝
    21時から23時か24時が
    自分だけの自分
    入浴 読書
  • 寺島の座右の銘

    顔晴る 寺島美恵