高宮正伍は越前大野駅の近くの高宮写真館の店主である。平成元年に大野で生まれた。
まだあどけなさの残る若者ではあるがカメラを持つと途端に声は大きくなり、目つきが鋭くなる。彼には跡を継ぐという明確な目標があった。
父の後ろ姿
小さい頃はやんちゃでした。いたずらばかり。言うことをきかず、ずっと外で遊んでました。中学校では化学部に、高校ではバドミントン部に入りましたがヒザを怪我して、その後は演劇部へ。演劇に明け暮れた高校生活でした。県大会でいくつか賞をもらったりと、充実していました。
小学校6年の文集で「カメラマンになる」と書いていました。中学3年の頃に一眼レフカメラを父にもらってメカに興味を持ち、父親の撮影する姿を見ていて、かっこいいなと思っていました。進路を考える際も「カメラマンって、そんなにいない。この仕事で食べていけたらいいな」と漠然と考えていました。この時期は、フィルムからデジタルに移行し始めた頃で、現像の仕事も減り、大野の人口も減り、父からは「この業界は今後どうなるか分からないから、将来は別の仕事をしろ」と言われていて、店を継げとは一度も言われたことがありませんでした。でも、好きなことは写真だったので、今の道を選びました。写真の専門学校に進もうと思い、いろいろ探したのですが、営業写真館の技術を学べるところは唯一、父が通ったのと同じ大阪の日本写真映像専門学校でした。