山本恭子 うおまさcafe オーナー

山本恭子は、カフェのオーナーである。2013年、60年近く大野で続いた魚屋『魚正』を父から受け継ぎ、
カフェスタイルで魚料理を提供する『うおまさ cafe』をオープンさせた。
メインは魚料理だが、カフェとしても楽しめるというユニークなスタイルが評判を呼び、常連客が増え続けている。

「ゆくゆくは自分のお店を持ちたい」
その思いを胸に、福井市で働く

生まれも育ちも大野。まちの中心で育ちました。実家が魚屋だったこともあり、子どもの頃から料理は好きで、高校卒業後は調理師の専門学校へ進みました。特に家を継ごうという気はなかったですね。でも料理には興味があったので、調理師になろうと思って進学しました。

専門学校卒業後は福井市内の洋食屋、ケーキ屋、パン屋などに勤務しました。ゆくゆくは自分のお店を持てたらいいなと思いつつ、その間に結婚して子どももできました。子育てをする一方、仕事でも任せてもらえることが増え、28歳の時には本格的に自分のお店を出したいと考えるようになりました。ただ、その一方で健康にも興味があり、整体、足裏リフレクソロジー、アロマなども習っていました。次第に将来の方向性が「食」と「健康」の2つに分かれてきて、「私って本当は何がしたいのか」と思い悩みました。

私の「大野へかえろう」

そんな折、実家から「店が人手不足なので帰ってきてほしい」との連絡があり、福井から大野に帰ることになりました。32歳の時です。とはいえ、福井では主に洋食の仕事をしていて、魚は扱ったことがありません。実家の仕事には一から向き合うことになりました。そうして改めて気付かされたのが、「魚って、こんなにおいしかったのか」ということ。それは大野の他の食材も同じで、おいしさの再発見をしたのです。そして、もっと多くの人に食べてほしいと強く思いました。

家業の魚屋を継ぐも、
「魚+カフェ」の
新たなスタイルで開業

それから数年を経た37歳の時に、新しくお店をオープンさせました。それまで屋号は『魚正』でしたが、若い人にもっと気軽に来てほしい、食後もゆっくり過ごしてほしいとの思いから『うおまさcafe』と名付けました。カフェスタイルの店内で、お魚とコーヒーが楽しめるお店。その組み合わせも珍しくていいかなと。

私は3姉妹の真ん中なのですが、いずれ誰かが家業を継がなければいけないとは思っていました。私だけ料理の学校で学んでいたこともあり、私が継ぐのは自然な流れだったと感じます。ちょうど世代交代の時期でもあり、親も喜んでくれましたし、カフェ形態にすることにも反対はなかったですね。

お店をするときに悩んだのは、誰に相談すればいいんだろうということでした。経営は初めてで、経営計画の立て方とか、何も分かりませんでしたから。調べていくうち、商工会議所で経営について学べるセミナーがあることを知り、そこに通うことにしました。その過程で、市役所の人など、いろんな人と知り合う機会に恵まれ、サークル的な活動にも参加して人脈を広げていきました。

1階に魚料理のお店があって、2階には仕出し料理を作るところや、宴会ができるお座敷もあるというのが、昔ながらの大野の魚屋さんです。でも、お客さんは年配の方ばかりでしたので、自分がお店をするなら、若い世代にもっと来てもらいたい、お魚を食べてもらいたいという思いが強くありました。それで1階を従来の魚料理のお店から、イートインスタイルの“魚カフェ”に変えたのです。今までの魚屋さんにはなかったスタイルですね。

ただ、2階には、仕出しや宴会のスタイルも残しているので、若い人だけでなく、昔ながらの年配のお客さんも来てくれます。2階のお座敷は、宴会のほか、イベントや観光客にも利用いただいています。『芦原温泉』や『天空の城』に行く際に立ち寄ってくれる人もいて、遠方からのお客さんも増えていますよ。魚は毎日、父が福井の魚市場で仕入れていますが、野菜はすべて大野産。発酵文化の盛んなまちだから、お味噌や酢、酒麹、醤油などもすべて大野産です。郷土料理とまではいかなくても、観光に来た人にも、この土地の新鮮な食べものを味わってもらえればと思います。

お店を始めて2年になりますが、常連のお客さんが増えたり、県外からもお客さんが来てくれることがありがたいですね。一番嬉しいのは「おいしかった」と笑顔で帰ってくださること。それが何よりです。仕事で大切にしていることは接客です。「この店にまた来よう」と思うのは、料理のおいしさだけが理由ではありませんから。

昔からある食べもので、
人は健康になれる

福井にいた頃は、「食」と「健康」という2つの方向性で悩んでいましたが、その答えが大野に帰ってから見つかりました。それは、食の面から体をケアする『食養生』。薬に頼らず自然治癒力を高めて人をケアする。昔からある食べ物で人は健康になれるということです。

自分でお店をするにあたっても、食養生とか健康に対しての意識はすごく強かったですね。以前、小学校の給食のメニューに関わった際に、大野にゆかりのある食養生の第一人者『石塚左玄』という人物を知ったことも、食の大切さを再認識するきっかけになりました。

大野は食材に恵まれた土地だから、ごく自然においしいものが食べられる。この環境で、食の大切さを伝えていくことにやりがいを感じます。 お店の2階で定期的にワークショップを開いていますが、そこで野菜や酵素、魚に含まれるコラーゲンの話をしたり、みんなで食事を作ったり。また、ヨガの先生にも指導に来てもらっているんですよ。

これからの大野について思うこと

今、大野に住んでいる人で、大野に対する意識が変わってきた人が30%ほどいるのではないかと感じます。大野のことをよく知って、見て、聞いて、大野や自分自身に対して自信を持つ人が増えていくことで、時間はかかっても、まちは徐々に良くなっていくと思います。

大野の良いところは、何かをやると浸透しやすいところです。人のつながりというか、市民が一体となってやっていく感じがあり、自分ひとりじゃないということを実感できる。私もお店を始める時に感じましたが、それはとても心強かったですね。

山本より、若い人たちへ

私は、一度、大野を出たことは良かったと思っています。大野にはない食材を知ることができたし、福井市の洋食屋さんやケーキ屋さんで学んだことが、今の仕事にも少なからず生かされていると感じるからです。

ただ、どこにいてもいいけど、おいしいものを食べてね! 人生には衣食住が付いて回るけど、大野にはおいしいご飯があります。 私はひとり暮らしが長く、親からの差し入れがとてもおいしかったんです。大野を出ていく人も、帰ってきた時にそのことを再認識できると思う。そのためには、お母さんたちが家庭の味を守り続けることも大切なのでしょうね。

あと、子育てについても。赤ちゃんの体は、90%は水分らしいです。大野の水で育つのと、そうでないのとでは全然違うと思う。大野にはおいしい水がある。大野で育った人は、その水で育ったということなんです。

  • 休日の過ごし方
    まだお店を始めて2年。休日を含め自由な時間は常にお店のことを考えていますね。
  • 山本恭子

    1976年生まれ
    うおまさcafe オーナー

  • 大野の中では黒谷観音が好き。そこの静粛な感じが良くて、座禅などもしています。

  • 休日の過ごし方

    まだお店を始めて2年。休日を含め自由な時間は常にお店のことを考えていますね。大野の中では黒谷観音が好き。そこの静粛な感じが良くて、座禅などもしています。

  • 山本の経歴

    大野東高校 → 調理師専門学校(福井)→ 洋食屋などで調理師(福井)
    → 『うおまさcafe』開店
    (大野)

  • 山本の一日

    6:00
    起床 お弁当作り 朝食 掃除
    8:30
    仕込み開始
    10:00
    開店
    11:30
    ランチスタート
    18:00
    営業終了後片付け
    翌日仕込み
    19:00
    夕食作り 会議がなければ家族との時間を過ごす 
    週末や宴会のある日は
    21:30まで仕事
    22:30
    洗濯
    24:00
    就寝
  • 山本の座右の銘

    有言実行 山本恭子