全画面表示でお楽しみください
/ 100
やわらかく 盆地に春が訪れる
満開の桜は
長い冬を耐えたごほうびのよう
久々の野外練習
いつもより体を動かすのが気持ちいい
学校も桜の名所だったりする
山の恵みはいつも誰かが分けてくれた
大きくなるにつれてわかってきた
春のおいしさ
山菜の天ぷら
祭りの意味はわからないけど
祭りはいつも楽しかった
サクラの後はシバザクラ
大野の桜は2回咲く
「そよ風の九頭竜湖」
靉嘔
1989年制作
機械も届かない田んぼの端に
苗を植えるのは子どもたち
「無題(大野でのスケッチ)」
江上直樹
アートディレクター
大野市明倫町出身
1989年頃〜2016年制作
田んぼが鏡になる時間
「一緒に走ろう」って言ってたけど
気づけばバラバラ
大野の雲は分厚い
「もうすぐ雨が来るぞ」と山が教えてくれる
家は近いと楽だけど
遠いほうが物語が生まれたりする
意外と当たるおじいちゃんの天気予報
「たけのこ」
植村倫明
アートディレクター
大野市陽明町出身
2016年制作
かえるの合唱コンクール
数時間に1本だから
見かけたらラッキーな気がした
梅酒は飲めないけど
おばあちゃんの梅酒作りは手伝っていた
草を刈るお父さんは
いつもよりカッコいい
この日は風がサバの味
玄関で遊んでいると
いつも近所のおんちゃんが声をかけてくれた
今日はどこを攻めようか
「マッスル」
前田吉彦
彫刻家
大野市泉町出身
2016年制作
勝っても負けてもいい思い出
橋からはいつも釣り人が見えた
夏は無敵になる季節
井戸で井戸端会議
畑から食卓に直行
夏のおやつはとうもろこし
ぼくらには 海はないけど 川がある
ひんやり びくびく わくわく
さっきまで泳いでいたのを食べる贅沢
地下水が冷蔵庫
「ペンギンのローリーとあざらしのバディに、
大野市へ遊びに来てもらいました。
御清水のお水、すごく美味しいって!」
松田崇志
イラストレーター/キャラクターアーティスト
大野市本町在住
2016年制作
アスファルトから
焼けるような雨のにおいがする
トンネルを抜けると 一瞬で大野になる
おんちゃんも おばちゃんも 子どもも
この日だけは みんなが踊る
帰ったら
じいちゃんが好きだったとんちゃん食べよう
「無題」
長谷川和俊
映像作家/デザイナー
大野市吉野町在住
髙見瑛美
鉢植え作家
大野市蕨生在住
2016年制作
お盆が過ぎると秋の気配
そよ風が吹いているのを
揺れる里芋の葉を見て感じる
400年 ずっと季節を告げる商品棚
どんなに飲んでも どんなに汲んでも
いつも喉を潤してくれた
バーベキューは 日常茶飯事
そろそろ家に帰らなきゃ
そばと米のミルフィーユ
「黄に向かう黒」
瑛九
1958年制作
登校は急いで 下校はゆっくり
誰も急かさないし 誰にも急かされない
「稲紋 ―大地の滴の波紋―」
松本三重子
立体造形作家
大野市中野在住
撮影協力 高宮正伍
2016年制作
遊びに行きたくなる秋晴れの日は
いつも稲刈りの日だった
時代は移り変わっても
ここはいつも ぼくらの大野
「今年もよう獲れたでのぉ」
収穫の喜びは家族も近所も総出で味わう
冬支度は猫の手も借りたいほど忙しい
ばあちゃんの手はとても強い
冷たい水にいつも負けない
長い冬のために食料を備える
昔からの大野の知恵
この季節 食卓で一番おいしいのは
ごはんかも
里芋の煮っころがし
気が早い家を見て
まだ降らない雪を感じる
チクリと空気が顔を刺す
自転車に乗れるのもあとわずか
冬は山からやってくる
通りにはしゃくしゃくという足音と
笑い声が響いてる
しっかりと一年の最後を漬け込む
雪は一年の汚れをきれいに掃除してくれるよう
新年を丁寧に迎え入れるのが大野人
晴れた日の荒島はいつまでも眺めていられた
雪が積もれば雪をかき
毎日変わらず生きてゆく
学校を休んでこたつからつららを見ていた
冬のヒーローたち
雪が積もれば積もるほど
人の温かさを感じた
「そら」
古川純也
アートディレクター
大野市朝日出身
2016年制作
よしっ と気合を入れて歩き出す
しみた朝
おそら
車への想いやりは大野人の常識
雪の日はお母さんが送ってくれた
不安な気持ちと車に乗ってる安心感
しーん という音がする
校庭がスキー場
そんなの当たり前だと思ってた
「こころ」
尾山由記
字書き・レタリング
大野市陽明町出身
2016年制作
朝はストーブの前で場所取り合戦
夜が長いから 冬の夕食はいつもより長い
のっぺい汁
雪の下では人より早く
春の準備が進んでいる
「碧と白」
高宮正伍
フォトグラファー
大野市大和町在住
2016年制作
雪どけの川はエメラルドグリーン
触らなくても冷たいとわかる川の色
味噌になるのは次の秋
「ふるさと」
キムラ・リサブロー
2002年制作